全国的に例年よりも早い桜の開花を迎え、暖かい春の訪れを感じる今日この頃ですね。
さまざまな草花が芽吹く季節でもありますが、今回ご紹介するのは、オールシーズンお花を愛でながらワインをいただけるアートギャラリー「AZALEA」。
お花とアートに囲まれた素敵な空間でワインの角打ちを楽んでみてはいかがですか。
FLOWER&WINE&ART AZALEA(東京・新宿御苑前)
2023年1月にオープンしたばかりのAZALEA(アザレア)は新宿駅から地下鉄でひと駅「新宿御苑前」から約2分のアクセスしやすい場所にあります。
代表の藤木さんは約2年間イタリアで料理人として働いていて、そのときにレストランに花を売りに来る人(1) からカップルが花を買って、飲み終わったワインのボトルに飾っていたのが印象に残っていて好きだったとのこと。
当時からワインの勉強はもちろんのこと、花やアートにも触れる機会が多く、いずれはご自身が素敵だと思うものを一度に楽しんでもらえるお店を開きたい…… と思っていたことがAZALEAをオープンするきっかけになったそうです。
(1) イタリアのレストランではよく花売りの人が入ってきてお客様のテーブルを回っていきます。
ちなみにお店のすぐ前が「花園通り」という名前なので、そこにも縁を感じてこの場所に出店を決めたそうですよ。
店名の由来とフラワーロスを活用する取り組み
ここでAZALEAを運営するTULIPANO合同会社 代表 藤木貴大さんのプロフィールを簡単にご紹介します。
佐賀県出身。 宮崎大学農学部卒業後、ホテルJALシティ宮崎レストランに入社。 その後、ミシュラン3つ星レストラン、Osteria Francescana (イタリア)、ミシュラン1つ星レストラン、Ristorante TOKUYOSHI (イタリア)を経て、ALTER EGO (東京)で料理人として勤務。
現在はビューティーサロンTULIPANO BEAUTYを経営しながら、アートギャラリーAZALEAも運営している。
会社名の「TULIPANO トゥリパーノ」はイタリア語でチューリップのこと。チューリップの花言葉が「思いやり」ということで、日々思いやりを心掛けているそうです。
ギャラリー名の「AZALEA アザレア」はイタリア語でツツジのこと。花の色によって花言葉が違うのですが、アザレア(西洋ツツジ)全般の花言葉は「節制」「禁酒」「恋の喜び」。
それについて藤木さんは、ネガティブな意味ではなく、控えめですごくがんばる傾向のある日本人の皆さんに「ここ(AZALEA)にきたときは自由に楽しんでください」という意味も込めているといいます。
普段ワインショップに行かないような人がお花やアート目的で立ち寄ってくれて、そこでワインを好きになってもらえたり、お酒を飲めない人でも気軽にお花を購入したり、アートを見にくるだけでもOK。楽しみ方はきてくれるお客様それぞれでいいと話します。
さらに近所の子どもたちとのふれあいの場にもなっていて、取材中も「ただいま!」と元気に店内に駆け込んでくる小学生がいました。 それに対して藤木さんは「おお、おかえり!」と慣れた感じで返事をしていて、微笑ましかったですね。
ちょうど通学路になっているそうで、子どもたちから話を聞いたお母様もいらしてくれるようになったり、今までお花の話なんかしたことなかったのに、お花屋さんのことばっかり話すので…… と親子間の会話にもつながっているようで、お礼をいわれることもあるそうです。
今は落ちた花びらや売り物にならなくなったお花で子どもたちに遊んでもらっているそうですが、今後は親子で楽しめるワークショップの開催を考えていて、子どもたちがお花に触れる経験を増やしていきたいとのこと。
また、AZALEAでは売り物にならないお花を使ったドライフラワーの販売や、アーティストの作品制作に使ってもらうなどフラワーロス(2) に対する取り組みも行っています。
これも藤木さんがイタリアのレストランで働いていたときに、フードロス問題に取り組んでいる姿を間近で見てきて、その精神性や関わり方を自分も取り込んでいかなきゃと感じたところからきているんだそうです。
(2) 生産された花が消費者の手に渡らずに廃棄されてしまうこと。
猫ラベルがかわいいおすすめワイン「ミャウ!」を試飲
今回ご紹介いただいた自然派ワインは、北イタリア、アルト・アディジェ州の土着品種スキアーヴァ100%から造られたロゼフリッツァンテ(3) です。
わかりやすいフルーツのニュアンスがあって、濁系なので、オリ(4) もおいしい。飲みやすくて女性におすすめしたいワインと藤木さん。
自然派らしい酵母の香ばしさもありつつ、決して強すぎず、やわらかで軽やか。 すりおろした果実ようなテクスチャー。 明るい外観とあいまって気分もうきうきしてくる春にぴったりの1本です。 ハムやチーズなど軽めのおつまみから、日本食に合わせてもいいですよ◎
(3) 発泡性の低いイタリアのスパークリングワイン。弱発泡性ワイン。
(4) ワインの成分が結合したもの。古いヴィンテージの赤ワインのほか、清澄・濾過をあえてしない自然派ワインなどにもみられる。体に害はないが好みは人それぞれ。
AZALEAのラインナップは作り手の顔が見える自然派ワインを中心に藤木さん自らセレクトしていますが 、ワインの良さをいろいろな人に知ってもらいたい、贈り物にも選んでほしいとのことで、ラベルにデザイン性のあるワインを多く取り扱っているそうです。
ドライフラワー付きワインバッグやアーティストの手作りワインバッグの用意もあるので、ただワインをプレゼントするだけでなく、特別感が増す贈り物になりますね。
「地産知消」ワインだけではなく地域の特産品も知って楽しめる場所に
オープンしたばかりのAZALEAですが、将来的な展望としてはワインというフードフレンドリーな飲み物と合わせて、農家さんや農産物、地域の特産品を楽しんでもらえる場所にもなれればと考えているそうです。
農学部出身で農業に興味があって、料理人をしていたという経歴からも農家さんがもっと活躍できたらと思っていたそうで、そういった機会をオーガナイズしたい。 地産地消ではなく地産「知」消、知ってもらって消費することを目指しているそうです。
特に藤木さんの地元、九州を元気にできる拠点になれればと思っているそうで、ワインはすでに宮崎県の都農ワイナリーのものも置いているとのこと。
AZALEAではいい意味で的を絞っていないといっていました。 ワイン、お花、アート、興味のあるところから入ってきていただいて、知らなかったことにもここで触れてもらえる空間、そこから広がっていってほしいというイメージを持っているそうです。
多くの人が行き交う新宿駅から徒歩圏内の好立地にあるAZALEAが人・モノ・作品をつなげられる場所として今後さらに発展していくといいですね。
取材後記
AZALEAは一歩入ると色鮮やかな花々が迎えてくれ、とても気分がよくなる空間です。 花には癒し効果があると証明されているのですが、実感しましたね。
店内でいただくワインもナチュラルワイン中心なので、心身ともにリラックスできます。 ちなみに角打ちは常時8種類ほどのご用意があるそうですよ。
また、昔はあまり使われなっかたドライフラワーが、近年はカラーバリエーションも豊富で注目を浴びていることに加え、フラワーロス削減にも寄与していることも新発見でした。
お花を買いたい人、ワインを飲みたい人、アートを見たい人に加え、今後は地域の特産品などに興味がある人々も集う場所に。 いろいろな方面から集まった人々が、いろいろな物事に触れていく…… そこからの新たな交流がどのような化学反応を示すのか楽しみな場所でもありますね。
新宿御苑を散策したあとや、お買い物帰りなどに気軽にのぞいてみてはいかがでしょうか。
※内容は2023年3月2日取材当時のものです。
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