北海道「キャメルファームワイナリー」のオンラインツアーを体験!

この記事は2020年09月11日に公開したものです。 ご紹介させていただいたワインは現行ヴィンテージで販売されているもしくは、販売終了になっている可能性もございます。 あらかじめご了承ください。

8月の最終日曜日、Winomy主催の「キャメルファームワイナリー」のオンラインワイナリーツアーに参加してみました。

キャメルファームワイナリーは、カルディコーヒーファームのグループ会社で、2014年に北海道・余市に設立された新しいワイナリーです。

実は以前から注目していたワイナリーのひとつでしたので、オンラインワイナリーツアーを楽しみにしていました。

筆者の注目していたポイントは、主にふたつ。

①北海道・余市というテロワール
②世界的な醸造家リカルド・コタレッラ氏がコンサルタントを務めている

ということで、今回はこの注目ポイントとオンラインツアーの模様をじっくりお伝えしていきたいと思います!

副醸造長の江澤允俊氏(左)と醸造長のアンジェロ・トターロ氏(右)
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温暖化で世界が注目する冷涼産地・北海道

北海道はブドウ栽培の気候区分において、最も冷涼な「リージョン1」に分類されています。
「リジョン1」はドイツのモーゼルやラインガウ、フランスのシャンパーニュ地方などが含まれていて、いずれの地域も白ワインの銘醸地。

2017年にはブルゴーニュの老舗ワイナリー「ドメーヌ・ド・モンティーユ」が函館にブドウ畑を購入したことが話題になりました。

北海道の夏は梅雨前線の影響を受けにくく、湿度も低い。さらに昼夜の寒暖差が大きいといった気候条件がヨーロッパ系ブドウ品種の栽培に適しています。

余市町はワイン特区に認定されていて、北海道で最もブドウ栽培が盛んな地域です。暖流の影響で北海道のなかでは比較的温暖な気候の上、三方を丘陵地に囲まれていて、日照時間も長く、ブドウの生育にとてもいい条件を有しているのです。

「魔術師」と称される、世界的な醸造家リカルド・コタレッラ氏の協力により進化を続けるキャメルファームワイナリー

リカルド・コタレッラ氏はイタリアで多くの「ベスト・ワイン・メーカー」を受賞し、2015年には国際エノログ連盟会長就任した世界が認めるワイン界の重鎮。

彼は本国イタリアのみならず世界70以上のワイナリーでコンサルタントを務めていますが、そのなかにはワイン大国フランスのワイナリーもいくつかあります。イタリア人である彼がフランスのワイナリーのコンサルタントを務めることは異例ともいえますが、それだけ認められている存在であるということ。

キャメルファームワイナリーの設立には、同じくカルディコーヒーファームのグループ会社であるオーバーシーズ* とコタレッラ氏が出会ったことがきっかけでした。

* 食品およびワインの輸入・販売を手掛ける会社で、輸入された商品はカルディコーヒーファームで販売されているものが多数あります。

カルディでよく目にするコタレッラ氏のワインといえば、ファレスコ** の「トレンタンニ」が有名です。

** コタレッラ氏が弟、レンツォ・コタレッラ氏と営む兄弟ワイナリー。
ちなみに弟はアンティノリのCEO! 兄弟そろってすごすぎです!

現在、キャメルファームワイナリーでは、リカルド・コタレッラ氏の愛弟子であるアンジェロ・トターロ氏が醸造長を務めていて、師であるコタレッラ氏と密に連携を図っています。

前列左から2番目が醸造長のアンジェロさん

さて、注目ポイントを押さえたところで、オンラインワイナリーツアーの様子をご紹介していきます。 まず、参加者全員にアンケートがありました。

1. キャメルファームワイナリーのワインを飲んだことがありますか?

はい …… 33%
飲んだことはないが名前は知っていた …… 25%
いいえ …… 43%

2. 北海道のワイナリーツアーに参加したことはありますか?

はい …… 25%
いいえ …… 75%

3. ラ・テラッツアさんのペアリングレシピを作って参加しましたか?

はい …… 7%
いいえ …… 52%
イベント後に作る予定 …… 41%

1. は筆者は「飲んだことはないが名前は知っていた」だったのですが、いいえと回答した方々は名前も知らなかったし、飲んだこともない…… ということですよね。

それでもオンラインツアーには参加されたということは、北海道産のワインということで注目しているのでしょうか。 なかなか興味深い結果でした。

3.はペアリングレシピ「ピーチとグレープフルーツのシトロネットのシーフード冷製パスタサラダ」のメモが事前にワイン付きチケットを購入した参加者に送られていました。 ショートパスタにグレープフルーツジュース&レモンを使ったさわやかなソースを合わせたレシピでした。

ペアリングレシピを提案した京都のレストラン「ラ・テラッツア」のクリスシェフ。 ミラノ出身

中継を繋いでオンラインワイナリーツアー開始!

いよいよここからはワイナリーのある北海道・余市と中継を繋いでのオンラインワイナリーツアーが始まりました。

残念ながら通信状況があまりよくなかったので、スクリーンショットの写真は画像が荒いですがご容赦ください。

まず、ブドウ畑でアンジェロさんが今年のケルナーの粒をみせてくれました。まだ固く収穫は先だそう。

ケルナーはアロマティック品種なので、収穫時期は糖度だけを見るのではなく、香りなどもみながら決めていくとのこと。

キャメルファームワイナリーのブドウの木の樹齢は結構長く、樹齢が長いと糖度と酸度のバランスがとれてくるし、ミネラル感も含まれてくると説明してくれました。

※キャメルファームワイナリーの開設は2014年と新しいですが、地元で30年以上に渡りワイン用ブドウの栽培を行ってきた農園を引き継いでいます。

ここで、オンラインツアーならでは、参加者からチャット上で質問が常に届くので、司会進行のWinomyのキャプテン・マサさんが、参加者からの質問をアンジェロさんにぶつけます。

司会進行はWinomyのキャプテン・マサさん

Q. (アンジェロさんは南イタリアのプーリア出身ですが)なぜ北海道でワインを造ろうと思ったのですか?

A. 冬は雪に覆われているブドウ畑で、北海道の気候は世界でも類をみないし、ワイン造りにとっていい環境だから。

ケルナーはドイツ系品種で、北イタリアのアルト・アディジェ*** やドロミテ地方ではドイツ系品種からワインが造られているとのプチ情報もいただきました。

*** オーストリア(ドイツ語圏)と国境を接した南チロル地方

雨も強くなってきたところで(当日の余市はあいにくの雨でした)ワイナリー内部に移動し、容量の異なるステンレスタンクをみせてくれました。

ケルナーの収穫量はそれほど多くないので、小さめのステンレスタンクで香りを保持するため13日間かけて低温発酵、その後、別のステンレスタンクに移し、うまみなど成分を抽出します。

続いて、木樽が並べられた貯蔵庫に移動します。

樽はイタリア製を使用していますが、ピノ・ノワールはブルゴーニュ産の樽を使用しているとのことでした。

ここで、フランス産の樽とイタリア産の樽ではどう違うのかという質問がありました。

アンジェロさんによると、イタリア産にしてもフランス産にしても、樽の材料として使われる木が育った森の環境が違う。

寒かったり涼しい森で育った木は成長がゆっくりで、木の密度が高い。 その木で作られた樽を使うと香りがつきやすいし、酸化しにくくなる。

ただ、そこまで樽の個性を出さなくてもいいブドウ品種もあるので、樽は品種によって使い分けているとのことでした。

新しくきれいな貯蔵庫。通信状況が悪かったので画像は荒いです……

次はテイスティングルームに移動して、お待ちかねのテイスティングタイム!
ケルナーのラベルは、ブドウ畑にキツネがいるのをよく見かけるので、それをイメージしているそうです

愛らしいキツネのラベル。 右上にはワイナリーの思いを込めた「繋 tsunagu」の文字が
こちらの鳥の絵柄はカルディコーヒーファーム限定ラベル

ケルナー 2019 をテイスティング!

アンジェロさんによると、イタリアでは最初にワインの良さをコメントしないそうですが、「でもおいしいです!」とのコメント。

適度な酸味があり、バランスがとれています。とりあえず、冷やして召し上がってほしいですが、温度が上がってくると香りや甘みが立ってきますので、個々で好きな飲みごろ(温度帯)をみつけてください

香りはまず、桃、柑橘類、サンブーカ(白い花)。

イタリアの文化ではアペリティーボ(食前酒)にとても合います。 仕事が終ったあとに、友達とリラックスしながら飲むのに向いています

ケルナーは製造過程は特に複雑ではないので、ブドウそのものの品質がすごく重要です。

これから日本のワインは世界のレベルに追いついていくと思います。

世界的にはヨーロッパやアメリカなど温暖化が進み、酸度を得ていくのが難しいですが、北海道はブドウ栽培の気候として、とても恵まれています

雨が多くても、湿度が少なく翌日に乾燥できれば、雨はそんなにネガティブな要素にはなりません。 余市は雨が降っても2時間後くらいには乾くので、ブドウ栽培において恵まれています。

今年のケルナーはあと2週間くらいで糖度と酸度のバランスが整っていくので、収穫時期を見極めていきたいと思う…… と話してくださいました。

透明感あふれる外観とは裏腹にしっかりジューシーな味わい

果実感とミネラル感のハーモニーがよく、素直に「おいしい」と思えるワインでした! 辛口に仕上げられていますが、桃などの甘やかな香りが誘因となって、みるみる飲んでしまうのではないでしょうか(笑)

最後に「今後チャレンジしていきたいことは?」 との質問に、

キャメルファームワイナリーのスタッフは優秀な人が多いので、スタッフ一同でいろいろなことを楽しみながらチャレンジし、成長していきたい。 ワインは人が造るものなので、楽しくなくてはいいものが造れない。

と、アンジェロさんは答えてくれました。

最高のテロワールと日本×イタリアチームで造る世界レベルのワイン

新しいワイナリーでありながら、実はすでに国内外で多くのアワードを受賞しているキャメルファームワイナリー。

期待を裏切らないできのワイン。そして、その澄んだ味わいが冷涼な余市のテロワールを映し出していました。

さらに、今回試飲したケルナーは後味にわずかに漂うほろ苦さにイタリアワインの要素も感じられました。

国を超えて、その土地の可能性を信じ、広めていくキャメルファームワイナリーのワインに今後も注目していきたいと思います!

ちなみにですが、キャメルファームワイナリーのワインは生産本数が多くないようで、カルディではよく売り切れているので、早めに買いたいなとも思いました。

ケルナー 2019 は9月4日に発売されたばかりですが、オンラインショップの在庫がすでに少ないようです。。

完売になる前にぜひ! おすすめです!

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